北海道留萌市生まれの現代美術家・柿﨑熙(ひろし)(1946~)は、韓国の現代作家と交流した「水脈の肖像展」や北海道の立体作家を組織した「北海道立体表現展」の中心メンバーの一員として、北海道の現代美術をリードしてきた作家です。
1993年から取り組み続ける代表作「林縁から」シリーズは、植物の葉や種、花に似たふしぎなかたちをしたオブジェを、壁や床にリズミカルに配置するものです。野鳥の観察や自然散策で出合った自然の美しさや命の尊さを昇華したその表現は、命を次代へつなぐための営みが繰り広げられる自然空間へと展示室を変容させ、鑑賞者を森の中へ誘うようです。
2017年、札幌芸術の森美術館では「札幌美術展 柿﨑熙 ―森の奥底―」を開催し、油彩・彫刻・インスタレーション・版画・野外展示など、ジャンルの垣根を越えて活動する柿﨑の半世紀にわたる創作活動に迫りました。本コレクション選では、2017年の個展開催をきっかけに、2018年、新たに当館の収蔵作品に加わった《林縁から―転生》をご紹介します。
【出品作品】
柿﨑熙《林縁から―転生》2014年 木(カツラ)、アクリル絵具
※掲載画像は2014年「Sprouting Garden -萌ゆる森」展での展示風景